「……ちょっ…んんぅ…!」
姫央は俺の胸板をトントン叩く。
仕方なく俺は唇を離す。
少し息のあがってる姫央。
「吐くまでするぞ」
「っ!」
赤すぎだよ。
「…俺は嘘は言わない」
「うん…?」
姫央は、頭にハテナマークを浮かべながら、俺を見る。
「だから、幸せにするって言った」
これはたしか、文化祭の日。
「だから、両思いだって言った」
これはたしか今日。
「分かる?」
俺がそう言うと、姫央はコクンと頷いた。
「…両思い?」
「お前が俺を好きなら」
姫央は真っ赤な顔を隠すように、うつむいた。
そして、
「あ、あたしは…」
そう言いかけたまま、何秒経過しただろうか。
その間聞こえるのは、風と波の音だけ。
だけどようやく決心がついたのか、姫央は顔を上げ、
「…スキ。(に決まってんじゃん)」
って言った。

