さすが財閥の一人息子。



そして財閥次期経営者。



のんきに感心してる場合ではなかった。



流はこちらに振り返ると、先ほどの笑顔とは一転、怖い顔であたしを見た。



[…なに?!]



あたしは皆様の方に顔を向けているため、作り笑顔を絶やさず小さな声で話す。



[…お前、なに俺ばっかに言わせてる(怒)]



流は皆様の方には顔を向けていないため、完全に素が出ている。



[な、流が勝手に話し出したんでしょ!?]

[は?お前がなんにも言わねーからだろ。2人して無言でどーすんだよ]

[そっ、それはそーだけど!]



今こうしてるの間にも、会場は無言の空間が広がる。



[とりあえずお前も、少しは喋れよ]



そう言って流は、アゴで「行け」と命令してくる。