そのくせ薬は飲めない。



薬だけは、絶対に飲めない!



「姫央さん、薬飲まないと熱下がりませんよ?」

「…いい」



いや、よくないけど。



「美味しいかも、しれないじゃないですか」

「………」



薬に美味しいやつとかねーだろ(怒)



「寝てたら治るから、氷だけ持ってきて」

「…分かりました。薬は、ここに置いておきますから」

「別にいらない」



そう言うあたしを無視して、牧原はベッドの近くの机に、薬と水の入ったコップを置くと、部屋を出ていった。



「……はぁ」



1人になると、なぜだかとてつもなく寂しくなる。



風邪ひいた時って、こういうものなのかな。