姫央は、なにも言わなくなってしまった。 泣き出したか? また俺が泣かせた? 「…っく、流がっ…!」 あ? 俺がなんだよ。 「…あの子、だれ…?」 「え?」 あ、あの子…? 誰?! あの子ってどの子だよ? 「…放課後一緒にいた」 放課後…? 放課後って、俺はたしか千果と会って… って、あ。 「ちょっと待てよ」 「………」 「あれは、俺の父親の取引先の娘で、幼馴染みみたいなもんだぞ」 「…え?」 姫央のキョトンとした顔が目に浮かぶ。 なに、ヤキモチ? 自然と頬が緩む。