構わず歩き続ける俺の腕をつかみ、
「いいじゃん、ケンカしっぱなしはよくないよ?」
と、半ば強引に引っ張っていき、グランドの隅っこにあるベンチに座らされた。
相変わらず強引だ。
「原因はなに?」
いや、ほんとにやんのかよ。
「…原因ねぇ」
「あるでしょ?」
原因はそりゃ、分かりきってる。
田辺の冗談と、姫央の意地っ張りと、俺の短気。
「田辺ってやつがいて…」
「た、田辺っ?!」
俺の言葉を遮って、千果が身を乗り出した。
「なんだよ」
「田辺って、田辺潤?!」
なんで俺が、フルネームまで知ってんだよ。
そんなの興味もない。

