だせぇって、吹き出せばいいじゃん。
なんでなにも言わないの。
すぐそばにある田辺の心臓が、すごい速さで鳴っていたから、今回は冗談じゃないんだって。
本気で言ってるんだって。
このあたしでも分かってしまった。
「…本気?」
「…当たり前だろ」
なんで…?
「あたしは、無理だもん」
「……アイツがいるから?」
田辺の腕の中で静かに頷いた。
「浮気してんのに?」
…浮気じゃないし。
「うん」
「…ムカつく」
「え」
ボソッと聞こえた田辺の声に顔を上げると、田辺の顔が目の前にあった。
そして、
“チュ”
唇が触れた。
今…なにしたの…?!
「…なに、すんの…!?」
勢いよく田辺から離れる。
「キス」
それくらい知ってる!!
「なんでそんなことすんの!?」
「お前らムカつくから」
だだだ、だからって!!
普通するか!?

