コイツ、前にもこんなこと言ってたよね?
「だから、お前が好きっだって言ってんだよ」
分かってても、田辺の真剣な瞳に、ドクンと心臓が大きく飛び跳ねた。
ダメダメ、ダメだよ。
コイツは冗談で、さらりとこういうこと言っちゃうような奴なんだから。
「…また、冗談なんでしょ?」
「え?」
本気にしちゃダメなんだ。
コイツはそんなあたしを、面白がってるだけなんだから。
「またどうせ、あたしをからかってるんでしょ!」
そう言ってあたしは、再び窓から外を見た。
流の方を恐る恐る見てみると、まだ2人でいる。
溢れそうな涙を、眉間に皺をよせてグッとこらえる。
流さん。
あたし、今見てるよ?
気付いてよ。
「…あんな奴、お前を泣かせるだけだろ」
しばらく黙っていた田辺が口を開いた。

