「うわー、あれはマズいな」
真上から聞こえた聞き覚えのある声。
振り返ると、
「田辺…?!」
ケンカの原点となった張本人が、あたしのすぐ後ろに立っていた。
その視線の先は、流と知らない女の子に向けられていた。
「浮気じゃん」
「ち、違うわよっ!ていうか、なんでアンタがここにいんのよ?」
あたしの問いかけに、ポカンとした表情を見せた田辺。
「俺、このクラスだし」
…あっそう。
「お前こそなんでいるんだよ」
「あたしは、担任に用事押し付けられたの」
「ふーん」
………。
聞いてきたくせに、あんまり興味なさそうだ。
「…そこで、婚約者の浮気現場目撃ってわけか」
「だ、だから違うって言ってんでしょ?!」

