「あのさ…」



そう言った流の手がスッとのびてきて、あたしのアゴをつかんだ。



!?



そして強引に、流の方に顔をむかされる。



そらしたくても、流の目からは逃れられない。



「俺に嘘がつけると思ってんの?」

「……っ…」



く、悔しいー…!



いっつもこれだもん。



「離せ!」



流の手から逃げようとする。



だけど次は、ほっぺたを両側からつかみ、再び自分の方にあたしの顔を向かせた。



……痛い(涙)



「もう、なんらお!?」

「お前が誤魔化すからだろ。言えよ」



出たぁーー!!



流様の命令形!



「………」

「言えないようなことしたのかよ」



あたしは目をそらした。



言えない訳じゃない。



だけど、言わない方がいいと思うだけだ。



「…からかわれただけだよ」