俺は姫央を抱いたまま、部屋を出てある場所へと向かう。



元婚約者?



ふざけんな。



俺はまだお前を、婚約者だとしか思ってねーよ。



けど、今までとは違う婚約者。



きっかけは、政略かもしれない。



始めは政略結婚のつもりだったのは確かだし。



だけど最終的には、俺が決めた婚約者。



“ガチャッ”



俺は姫央の家のリビングに勢いよく入った。



「あら流くん!と、姫央っ」

「どうした?」



そこには、姫央の両親がいた。



俺は2人の前まで行き、姫央を床におろした。



「社長、お義母さん。俺に、姫央を幸せにさせて下さい」

「…へ?!ちょっ、流!?」



驚く姫央をほおって、頭を下げた。



「あらあら、仲直りは終わったようね」

「は?!お母さん、なに言ってんの!?」



姫央の両親はニコニコ笑顔だ。



「コイツ…姫央は、俺が自分で選んだ婚約者です」



もう一度頭を下げ、俺は姫央を抱き上げるとリビングを出た。