【流♂side】



俺は今、全力疾走の真っ最中である。



──“好きだもん”──



この言葉を、頭の中で何度も何度何度も繰り返しながら。



アイツは確かに言ったんだよ。



なんで今頃言うんだよって、思ったものの、そんなことはどうでもいい。



陽向が言ってた好きな奴って、俺ってことだろ?



ほんとお前は、よく分かんねーよ。



文化祭の片付けなんかすっぽかして、アイツの家へと向かって走る。



“ドンドンッ”



走ってきた勢いもあって、グーでドアを殴ってしまう。



………。



…無視?



いるのは分かってんだぞ。



ホントに暫くしてから、



「……誰?」



っていう、そっけない返事。



俺はそれを聞いた瞬間、アイツの部屋へと突入した。