「やっぱりね。じゃないと出来ないよな」
「え、はい…?」
出来ないってなにが?
そのあとカップルは、コーヒーを飲んで店を出ていった。
少し気にかかる。
あのうさんくさい台詞のこと、言ってたのかな。
確かにくさいけど、付き合ってなくてもあれくらいなら出来るよ。
むしろあたしは、そっちの方がやりやすい。
うーん…。
分かんない。
そこまで深く考えず、あたしは仕事に集中した。
そして第2回、3回、4回と、劇が終わっていく。
どれも結構ウケてて、みんなはしゃぎまくっている。
「姫央、今沢くん!ちょっといい?」
「なに?」
遥に流と呼ばれて、あんまりいいことあった記憶はない。
次はなに言われるんだ。

