それから家までの間、会話は一言もなくて。
ただ別れる時に、
「……ありが…と。じゃね」
「ん」
とだけ、会話があったくらい…(沈)
だけど流は、ずっと手を握っててくれて。
11月の、ひんやりとした空気の中、握られた手だけは暖かかった。
「…ただいまぁ」
まぁ、なんとか家に到着。
「おかえり。遅くまで頑張んのねぇ」
「ま、明日本番だから」
「見に行くから頑張りなさいよ?」
ちなみにお母さんとお父さんは、あたしが白雪姫をやることを知っている。
もちろん白馬の王子様役が流だってことも。
「別に来なくていいよ」
「なーに言ってんの!せっかく流くんと主役張るんだから!ねぇ、あなた?」
「そうだな。見ものだよ」
情報源は、マッキーこと牧原だ。

