怖い怖い怖い怖い。
こんなことなら、ちゃんと流の横について行けばよかった。
涙が目を濡らす。
その量がドンドン増えて。
足音も大きくなって。
ついには、あたしの目の前で止まる。
ギュッと固く目をつぶった。
“ガシっ”
「ひ……っ?!」
腕を捕まれたと思ったら、暗かった視界がさらに真っ暗になった。
だけどその瞬間、体中に熱が伝わる。
そしてフワッと香る、このにおいには覚えがある。
心臓は今にも爆発しそうなのに、でもなぜ落ち着いてしまう。
「……流?」
あたしは今、流の胸の中にいるらしい。
あんなに震えてた体が、抱き締められた途端、こんなにも治まるんだもんな。
ほんとすごい。
「…お前さ」
「え…」
こぼれ落ちる寸前だった涙が、安心したせいか、ボロボロと溢れ出した。

