まぁ、その。
暗所恐怖症のあたしは、この夜の闇が怖いわけだ。
どーしようかなぁ…。
牧原に迎え頼もうか。
「おい」
「ひっ…!?」
暗くて神経張ってるところに、いきなり話しかけるもんだから、驚きすぎて体ごと跳びはねた。
「…送る」
「…え、いいの?」
「嫌なのかよ」
「い、いいえ!」
と、とんでもございません!
むしろ嬉しさで、怖さなんて吹っ飛んじゃいそうなくらい。
…って言うのは言い過ぎで。
テンションは上がるものの、やっぱりそう簡単に怖さがなくなる訳はない。
そして今、アイツとあたしの距離は推測2m。
遠くない…?
送ってもらっててこの距離は、遠すぎて怖いんだけど。
体が震えた。
流を見失いそうだ。
それでも歩き続けていると、前から足音が近づいてきた。
あたしの足も限界で、震えすぎて動かなくなる。
怖くて顔も上げられず、その場に立ちすくむ。

