文化祭の準備が着々と進んでいくなか、俺達はほとんどの時間を劇の練習に使っていた。
劇は約15分間。
これを適当な時間空けてから、何回かやるらしい。
そして今日は、衣装を試着してみる日。
「姫央、今沢くん。2人の衣装はそこの教室にあるから、今から着ててっ」
「わかった」
加藤にそう言われ教室に入ると、白馬の王子様の服と白雪姫の服がかけてあった。
「やっぱりこれ、あたしが着るんだよね?」
「他に誰が着るんだよ」
白雪姫の服を、上から下までジロジロ見つめながら姫央は言った。
「…やだな」
「は?」
いや言っとくけど、俺だってやだわ。
いい年こいて、白馬の王子様だぞ。
コスプレ以外のなんでもねーよ。
「あたし似合わないのにー…。まず、白雪姫ってキャラじゃないし」
「確かにな。よく自分のこと分かってんじゃん」
「なっ…?!ちょっとは、フォローするとか出来ないわけ!?」
「お前が自分で言ったんだろ」
「それが婚約者に対する態度?!」
「知らねーよ」

