「やめて!」
顔を横に背けると、空いた片手でアゴをグイッと持ち上げられた。
「…アンタね、こんなことしてなにが楽しいの!?」
「なにって、その涙目だよ」
「は?」
「その嫌がる顔がそそるんだよ」
「っ?!」
…最悪、だ。
抵抗しようにも、手は押さえ付けられてるし。
近づいてくる顔に、目を固くつぶることしかできず。
そのまま唇が重なった。
“コッキーン”
「~~~っ!!」
あたしは足で思いっきり、奴の股間を蹴り上げた。
声にならない声を出して痛がる男をほって、走ってその場を離れた。
“ジャーっっ”
蛇口から勢いよく水を出し、口をこすり続ける。
……最悪だ。
汚れた。
自然と涙が流れた。
悔しくて悔しくて。
“ジャーっっ”
「…ふっ…う…!」

