「ホントすいませんでした」
頭を軽く下げて、その場を去ろうとした…のに。
“ガシっ”
「な、なに…!?」
手首を掴まれ、あたしは足を止める。
「よく見たら可愛いじゃん。ぶつかったんだ、礼ぐらいしろよ」
はい?!
わけが分からないまま、あたしは引っ張られていく。
い…いやぁ(涙)!!
連れてこられたのは、人がこないトイレの裏。
さすがのあたしにも、この状況がヤバいことぐらい分かる。
だけど、どうやって逃げればいいのか、そんなの分かんない。
どどど、どーしよう…。
改めて男の顔を見ると、やっぱりチャラい。
たくさんのピアスに、パサパサの明るい髪色。
ヤバいよ!
気付けば男の顔は目の前にあり、両手首をしっかり掴まれていた。

