またまたあたしの言葉をスルーして、勢いよく立ち上がったかと思うと、鞄を持ってレジの方へ歩いていった。
「ちょっと、遥?!どこ行くの?!」
「決まってるじゃない、姫央の家!」
は!?
遥の行動は、先がまったく読めない。
こんな気まぐれ女に付き合えるのも、あたしくらいなんじゃないの?
でも牧原だって、長い間このあたしの相手してたくらいだし。
遥の相手だって、余裕で出来ると思う。
お似合いっちゃ、お似合いだよね?(←ならなぜ疑問形)
「…なんで急にうちなの?」
「決まってるでしょ、牧原様に会うためよ!」
…さ、様!?
でも、頬を赤らめていつも見せない、恋する乙女の顔をする遥を、やっぱり可愛いと思った。
「姫央ーはっやくー!!」
「は~い」
走って遥を追い掛けた。
「ね、姫央?」
「…なに(嫌な予感)」
「さっき今沢くんに助けてもらった時、なにもなかったの?」

