「言いたくないなら、別にいいけど」

「…傷つくのは、自分たちだもん」



まさかこれ以上、話すとは思ってもみなくて、少し驚いた。



「恋愛しても、最終的には離ればなれ。だったら初めから、しなきゃよかった…」



まぁ、そうなるよな。



………。



「しなきゃよかった」?!



え、もうしてしまったってことかよ?



それで、そんな顔してんのか。



「婚約して嬉しいんだろ」

「…ん、そーだよ」



そう頷いた姫央は、本当に今にも泣きそうな顔をしていた。



………。



「…ちょっと来いよ」

「えっ、ちょ…?!」



俺は姫央の腕を掴んで、教室を出た。



向かった先は、体育館裏。



もちろんなんとなく。