「好きですっ。」
明るい夕焼けの中、電気がついてなくて少し暗い靴箱。
扉が前回のため生暖かい風があたる5月の放課後。

私は今告白の真っ最中。

告白の相手は、

佐野拓哉(サノタクヤ)

サッカー部の次期キャプテン。
勉強もスポーツもできて、ルックスもいい。
負けず嫌いでノリがいい。
それなりにモテる。

そんな彼を好きになったのは、中学1年生のとき。
みんなが言う『一目惚れ』というやつだったのかも。
同じクラスになって、気づいたときから好きになってた。


モテる彼だけど、内心?心底?イケるんじゃないかと思ってた。
女友達、男友達、みんなに応援されてたし、
結構脈ありなんじゃないって思ったりもした。


告白しながらもそんな事を考えてる自分に少し引きながら
返事を待っていると、佐野が口を開いた。

「ありがとう。」
そういって微笑む佐野。
私はてっきり今からおこることとは反対のことを想像してた。
「でも…ごめんっ!」
えっ?今何て言った…?
「俺、彼女いるんだよね…。」
か…のじょ?初耳なんだけど?
「彼女って誰…?」
今にも溢れだしそうな涙を抑え、私は口を開いた。
「あー…。杏理だよ。」
『杏理』
その生々しいしい言葉にもう我慢できないと思い
溢れだす涙を拭きながら私はその場を後にした。