夢を見始めた


それは久しぶりの感覚だった


そう、あの闇の賢者に出会って以来見ることのなかった夢


いつからだった?


この夢を見始めたのは





何故だか身体が軽くなった気がした
あぁ、夢だから当たり前か?


くるくると楽しくステップを踏んで、俺は踊っていた


アレ?
変だな、髪がほどけている
伸ばした手も髪の毛の色も、何故だかいつもと違う気がする


周りの景色は分からないけど、誰かが俺を見て微笑んでいる
懐かしいような…………悲しいような


俺は抱き締めるように両手を広げた


ああ、そうか


俺の手
女の子みたいなんだ



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「ディンとブラッドの家にか?」


部屋で里帰りの用意をしていたフェイトは手を止めて顔を上げた
ディンはなんでもないことを言う調子で笑った



「そう。冬休みだからさ、人間界に帰るついでに僕らの家に遊びに来てよ。静かなとこでつまんないんだ」


クリスマスが近づく寒い冬のこと
フェイトは少し考えて呟いた


「お前たちの家もあっちにあるんだったっけ?」

「うん。それに移動するのも時間かからないよ」

「どういう事だ?」

「僕らの家にはお手伝いさんが1人いるんだけど、その人は空間魔法の道具を持ってる。だから、フェイトの家まですぐだよ」


それならクリスマス前に2人の家に遊びに行くのもいいかな、と考えた