クラス対抗戦
膠着した戦況は1人の生徒が変えた


風が吹き抜ける


大規模な魔法に森に網をかけたように張られた結界はそれで吹き飛んでしまった
暴かれた本陣が瓦解するのは早い


歓声を上げたのはAクラスだった



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「凄いなフェイト!」


興奮したクラスメイトに揉みくちゃにされながら照れたようにフェイト・クロウリーは笑った



「あはは!でも、最後にとどめを差したのは皆の方だろ!」


そうは言ったが役に立てたことが嬉しくて笑みが止まらない


ヴォルフと肩を組んで勝利を祝うが、そこでふと気付いた


ベステモーナがいつもとは違った笑みでクラスメイト、フェイトを見ている
少し離れたところではディンがこちらを眺めている
そして、また離れた所からブラッドが複雑な色の瞳でフェイトを見ている


いつも側で見つめているはずの瞳が、この時だけは別人のモノに思えた


胸が詰まる


不安がよぎる
けれど、それはきっと傾いた日の光のせいだろう


きっと……


勝利に酔いしれる熱気に押されてフェイトはくらりとした