ペンとメモ用紙を用意して机に向かう。
 だってこれは、れんちゃんの、家庭教師としての最後の問題なんでしょう。
 それならちゃんと答えよう。

 問題は、英語数学国語地理歴史とジャンル問わず。
 けど全部今までれんちゃんと一緒に解いた問題の中に入ってたものだった。

 ひとつ、ひとつ。
 問題を読んで答えを考えていると、れんちゃんが居てくれた時のことを思い出した。

 この問題は、公式が分からなくて苦戦してれんちゃんが覚えやすいからって方法を教えてくれた。

 次の問題は、れんちゃんが居眠りしてる時に解けて起こしちゃったんだよね。バイトで疲れてたのに。

 あの問題は、語呂がいいからって覚え方を教えてくれた。

 これも、あれも。全部。

 だから、問題が解けて最後に近づくにつれて悲しくなってきた。


「れんちゃん・・・・・・れんちゃん」


 はたはたとメモ用紙にしみが出来る。