着いた先は、生徒会長が誰かと話していた通り、生徒会室だった。

「…広い…」

「ちょっと顔洗ってくるから、そこのソファーに掛けてて。目の前の菓子も食べてていい。…ただし、逃げたら、授業サボってたのお前の担任に言うからな」

結局バレていたらしい。
それに、なんだか、脅しのようなものを言い捨てながら、生徒会室の奥の部屋に消えていった彼。

逃げるか、逃げないかの選択は、ここに来るまでの疲労感が全て奪って行ってしまった。

室内には、見るからに高そうな家具。
座るのすら躊躇しそうになるソファーに、指紋一つ無いテーブル。そして、その上に置かれているお菓子。

またもや、見るからに高そうな、初めて見るお菓子。
それを食べずに観察だけしていると、ここへ入ってきた扉から突然トントンと2回ノック音が響いた。

部屋の主は、奥の部屋に行ってまだ帰ってこない。
勝手に返事をしていいのだろうか、それとも居留守っぽく黙っていれば良いのか。

彼を呼びに行こうと、席を立った途端、ガチャリと扉が開いた。