「…。そこまで俺は書類好きじゃねぇよ」
そうですか、と言うと、またすぐに静まり返る室内。
段々ここからサボりたい衝動に襲われてきた。
さずがに、監督者がいる目の前で逃げるわけには行かないが。
「…カタリさんにとって、“恋人っぽい”ことというのは書類整理なんですね」
カタリさんの方から紙と紙がガサガサと擦れる音が消えた。
そして、下を向いて一心に書類を片付けていた手すら止め、彼は顔を上げた。
「なんでそうな…」
「うはー、暑っつー」
「…」
何か言おうとして、口を開けた彼を能天気な声が遮った。
ノックせずに、見るからに汗だくで、暑いと言いながらヘラリと笑っている青年。
「あれー、久しぶりだね」
それは、ビターかブラック派の人だった。
