第2校舎の空き教室。

カタリさんと会った部屋とは、違うのに彼はいた。
部屋の隅で、書類に埋もれながら嗚咽していた。
姿が見えない状態で、入口の扉から嗚咽だけ聞こえて、覗いてたらバレた。

私の趣味が悪いことは言わずもがな。

「生徒会ちょ…いや、カタリさんもサボりですか?」

「違う。今日の授業は、各自決めたテーマを学内にある資料から探して発表するんだ」

資料なら腐るほどあるからな、といいながら、文庫本を読むのを止めない。

「…カタリさんの発表は、その文庫本…?」

「…目的の資料探してたら見つけた」

部屋の片付けがはかどらないタイプかな、と心の中で呟きながらながら、他のところでサボった方がいいかなと思った。
そっと出入り口の扉の前まで行き、扉を開けようとした。