「彼のことは、また少ししか知りませんが…好きなんです。こんなにも傍にいたいと思った人はカタリさんが初めてです」

口下手に勢いを乗せて言う。

「カタリさんを私にください!」

「へ?れ、レイ…?」

小さく驚いたようにこちらを見てくるカタリさん。
今の状況で貴方から離れたら、一声で高校生活が壊されてしまう。
これからを守る為なら覚悟なんて安易なんです。

数秒、室内がシーンと静まり返った。
少しずつその場の熱が覚めてきて、さすがに言い過ぎただろうかと、冷や汗が出てきた。

「…。恋愛に束縛を強制してもほつれが出てくる。2人がその気なら、いいでしょう。カタリ、貴方のお父様にはわたくしから言っておきます」

報告はもう少し早くしなさい、と言われカタリ母は、再びペンを握った。

「そろそろ帰りなさい、外はもう暗くなっています。カタリ、一澤さんをきちんと家まで送り届けなさい」