だから、もう紹介なんて止めてくれ。
悲痛に言う彼は、私を抱く手を強くした。
ここまでするとは、さすがに思わなかったが、紹介とはなんだろう。
「…一澤さん」
ゆっくりと、そして冷たく突き刺さるような声が私の名を呼んだ。
「はいっ!」
少し声が裏返った。
恥ずかしく思いながら、呼ばれた方を向くと、案の定視線がガチリと合った。
「息子とのお付き合いはいつから?」
いつからか。
そんなこと考えて無い。実際付き合ってないのだから。
大まかな設定くらい決めておいた方がよかったな、と今思ってもしょうがないことが頭に浮かぶ。
適当に言って、矛盾が生じたらどうしよう。
このまま、無言を通すにも辛い状況だが。
「そんなお見合いみたいなこと言わないでよ、母さん。レイと付き合い始めたのは2週間前」
