「…そういえば、お前の名前って何だ」
「一澤です。一澤レイ(いちざわ れい)。会長は糸崎カタリ(いとざき かたり)…さん、ですよね」
「ああ」
今更ではあるが、お互いの名前を確認しつつ、本番で使えるかどうか分からないが、簡単なセリフ合わせをすることになった。
「好きだ、一澤…あ、違う。レイ」
「わ…私も好きだわー……か、カタリさんのことー」
あと数十分で、生徒会長…いや、カタリさんの親御さんの前で彼女のフリをしないといけない。
正直、心底彼女役なんてやりたくないだけと、拒否したら私がしてきたサボりライフを、カタリさんの一声で無くなってしまうだろう。
他の日はダメなのかと聞いたら、ダメだ、と即答された。
第一、フリくらいなら構わないだろう。
「…心を込めろよ」
「生徒会長だって!いや、カタリさんも心込めてください」