たたた、と扉を1枚隔てた先に、見るからに焦った使用人が駆け ていった。

おかしい。

今日だけで何人の使用人をみたのだろう。
執事やメイドなど、漫画やアニメみたいな可愛い制服を着た彼ら。
本来は、雇い主であるこの学校の生徒会長の近くにいるはずなのだが、今日は そこら中にいる。

「せっかく授業サボったのにな…」

はあ、と小さくため息を吐いて、隠れていた部屋の扉から、外の廊下をうかがう。
いくら生徒会長の使用人でも、サボっている生徒を見つけたら容赦なく担任に告げ口するようにいわれているらしい。
それを見つかれば、捕まえにこないものの行き先は説教と言う名の地獄だ。

廊下には誰一人いない。

今のうちと、そっと部屋から抜け出して目的も無く歩き出す。