犬系彼氏とシャイ彼女

「愛、おはよう!」
「あぁ、おはようあお。」
「どうだった?楽しかった?」
「まあまあね。」
「それはよかったね。」
私も良く分かる。
遠く離れている親が少しだけでも帰ってくる時の嬉しさは。
「あれ…教科書…。」
おかしいな…入れたはずなんだけど……。
「ん?どうしたの?」
「数学の教科書忘れたみたい…。」
「あらら…。じゃ、あの馬鹿から借りてきたら?あいつ授業中に堂々と寝る奴だから。」
確かクラスは1組だったかしら。と付け足した。
「うん。分かった。」
休憩時間ということか、大勢の人が出入りしている。
「1組ってどこだろう…。」
うーん…。
キョロキョロと探していると誰かとぶつかった。
「あ…すみません…。」
「悪い。今急いでて…って……さんの…?」
え?
ハッキリと聞き取れず、首をかしげる。
「……次から気をつけろ。1-1なら向こうだ。」
方向を指差すとさっさと歩いて行ってしまった。
なんだかよく分からないけど、無愛想な人だったなぁ…。
誰だったんだろう?
不思議に思いながらも、心の中でお礼をした。
「あの…。白川くんは居ますか…?」
「白川……あぁ、ちょっと待っててくれる?」
じろじろと見ると奥の方に入って行った。
「おい、白川ー。お前に用があるんだってさ、女の子が。」
「用事?分かった。」
後ろの方をチラチラと見ながら教室から出てくると、目を丸くした。
「崎波。俺に何か用?」
「えっとあの…数学の教科書今から使わないなら貸して欲しいんだけど…。あ…無いなら…いい。」
心なしか大勢の深いため息が聞こえた気がした。
「ん、了解。今持ってくる。」
「はい。」
「ありがと。えっと…じゃぁ終わったら返しに来るね。」
「あー…別に明日でもいいよ。俺多分、今日の昼休み居ないと思うし。」
白川くんはポリポリと頬をかいた。
「分かった。じゃ、借ります。」
「ん。」
キンコーンカーンコーン…
「あ。で、では!」
「おう。転ばないようにな。」
「前にも同じような事あったような…。プッ…やっぱ足速いな。」