犬系彼氏とシャイ彼女

ドキドキ…
丁度耳から聞こえてくる音に違和感を覚えた。
白川くんの心臓…?
私と同じ速さの心臓の音。
顔は見えないけれど、赤くなってるんだろうな、と思った。
「(……。)」
ギュッと抱きしめる力が強くなる。
「(あ…わ、悪い。もう少し…このままで……。)」
ガヤガヤと喋り声が聞こえたけど、
小さく囁く声によって何も聞こえなくなった。
まるで別世界みたい。
バタン…
ドアの音で声が遠ざかっていく。
「もう大丈夫だな。」
そっとロッカーから出ると誰もいなかった。
よかった…。
心臓が飛び出るところだったよ…。
白川くんの顔を見ると、ほんのり頬が赤に染まっていた。
「……なんだよ?」
「……えと…何でもない…です。」
渡し損ねた教科書を手渡す。
「……。」
「……。」
「……そ、それではっ!」
さすがに気まずくて私は回りを気にせずに走って行った。
顔が熱い。
外はまだ涼しくて、不自然なことだった。
どうしよう。今教室に戻ってきたら…不自然だよね。
どこで暇を潰せばいいんだろう…。
火照っていた頬を隠しながら、行く当てもなく歩き出す。
「……なんで野球部に…女が?」
もうすでに誰かに見られていたなんて、私は気づきもしなかった。