犬系彼氏とシャイ彼女

どうしよう…。
白川くんから借りた教科書を持ちながら青くなる。
“あいつが来る前に部室に教科書を置いてこればいいのよ。”
置いてこればいいのよっじゃないよー!
無理だよ愛ー!!
その場所というのは野球部の部室。
……女子禁制といっても過言ではない。
それに鍵だってかかってる筈…と思いながら駄目元でドアノブを回すと、
開いたため、ドアを閉めて一息つく。
「…え?」
誰も居ないと思っている部室。
急いで振り返るとそこには着替えてる途中の白川くんが居た。
「!!?」
「しー。静かに。というか何で崎波が?」
咄嗟に口に手を当てられ、叫びそうになった言葉を飲み込む。
あ、そうだ…この教科書を返しに来たんだった。
持っていた教科書を渡そうとした時だった。
「あーだりー。」
「サボり魔がよく言う。」
「「!!」」
「どどど…どうしよう……?!」
「先輩達…だよな…。もしかしなくても。」
外から歩いてくる音が聞こえる。
もう…駄目だ。
「……チッ…仕方ない。」
ガチャッ
「ヤローばっかで俺もう腐りそう…。この際彼女でも彼氏でもなんでもいい!慰めてくれよー!!」
「あっそ。聞き飽きた。」
「冷たくね!?はぁ…俺以外全員女だったらなー…。そしたら俺超頑張れるのにー。」
「……殺すぞ。」
「ちょ、そんなに殺気向けんなってっ。冗談だって!」
「……。」
息苦しい!!そして顔近っ!
「(崎波…その。大丈夫か?)」
「(な、なんとか…。)」
ロッカーの中に居るため、自然と体が密着してドキドキと心臓が速くなる。
それにこの体勢。後ろから抱きしめられているような感じだ。
これじゃ心臓が持たない…。