「自分が知らないが故に他人を傷つける。悪気がないだけに、傷つけられたほうは行き場のない感情を抱える。罪、じゃないかしら?」


言われてみればそうかも知れないけど…。



「結局、私たちって意図的にも無意識にも、人を傷つけてるんですから。無知だけが罪だとは私は思いません」


「成る程…。そういう考えもあるのね」


あたしの言葉に、また手を顎に当てる。


そしてポツリ。


意識しても聞き取るのが難しいくらいに小さく、彼女は呟いた。









『無知は罪』


「私もまだまだ、無知ねえ」