眉を下げて目を伏せる彼。


わたしが好き、だった人。


嘘、今も好き。好きだけど、もう一緒にいちゃいけないの。


だからわたしは貴方から離れる。


ーーー最後に一つ、我儘言わせて?


「…もう、嫌なの。嫌いになった」


彼は更に眉を下げた。


ごめん、そんな顔をさせたいわけじゃないの。


本当はまだ好きなの。


好き、だから。


わたしを忘れないでっていう、嘘。


傷ついて、恨んでてもいいから、わたしのことは忘れないで。


「じゃあね」









『最後の嘘、吐いた』

彼が好きだった長い髪をひるがえしてその場を去った。