見て、しまった。


『あんな子の事なんてほっといて、どっかいこ?』


そう零した彼女の言葉を彼がひろうところ。


人気のない中庭のど真ん中から2人、姿を消すところ。


ずるずると、壁に背中をつけたまま座り込む。


「ダメだなぁ…」

あたしには人を見る目というものがないのか、それともあたしが人を信じ切れてないからか。


大切だ、と思った時にはその人はあたしの前から消えているの。


…もういっそ。


最初から信じなければいいのかな。


そうだ、


「もーいっか」










『ハートに錠前』

ーーーかちゃりと音がした、気がした。