俺様主人と忠実執事

「……」
やはり食う飯は上手い。俺だっていっつも高級な奴ばっかりを食べているわけではない。
殆どといっていいほど、俺は庶民的な食事のほうが好きだ。
ふと、無性になにかが欲しくなってきた。
「犬、が欲しいな」
「はて、それはどちらの？」
「犬は犬。主人に忠誠を誓ったイジりがいのある、雄」
「はあ。そんな犬、ここにしか居ませよ？」
「誰」
「私です」
「お前素はSだろ。それにお前はイジりがいがない。そうだな……弟が欲しい」
「また呼ぶのですか？可哀想に」
哀れんでいるような表情を見せるが、全く哀れんでいるようには聞こえない。
むしろどこか、楽しんでいるように見える。
「あー、楽しみだなぁ」
「しかし愁様、あと数日は無理ですよ？あのガキは全国大会とやらに行ってますから」
ふーん。おあずけという訳か。
まあいい。
次会った時にたっぷりといじめてやろう。
そう考えると、口元に笑みを作った。