俺様主人と忠実執事

コックが持って来た朝食を受け取った姑、もとい梓は、テーブルに俺の朝食を置いた。
「今日は和食か」
味噌汁を一口飲む。
「……どうですか？」
「まぁまぁ」
すると、梓はあからさまにホッとした表情を見せた。
「良。俺が食ってる間に何かしてるか？」
「それじゃ書斎行っていい？借りた本を返すついでに読みたいんだ」
「んー分かった」
梓の眼鏡を取り、テンプルに書いてある数字をメモすると、良に渡した。
「この数字を入れれば解除するから」
「うん、分かった」
書斎がある二階へと、良は走って行った。
「あの、眼鏡を返していただけませんか」
「別にいいだろ、伊達眼鏡」
どうしてやろうか、と眼鏡を掛ける。やはり眼鏡のレンズに度がないのは変わらなかった。
「……なぜ掛けるんですか」
「どう、似合うっしょ」
柄でもなくウィンクしてみると、梓が真っ青になる。
「気持ち悪いです、愁様」
「お前そこは嘘でも格好いいとか言えよ」
「無理です。私は執事で愁様の教育係りですので」
まぁ、いいか。
冷めないうちにと、食事を再開した。