朝のシャワーから出ると声をかけられる。
「愁様、おはようございます」
「おはよう」
「おはようございます。愁様、本日も良い天気ですよ」
「そうか」
男、男、男。
そう、ここには女が誰一人居ない、所謂女禁制である。
理由は俺の親父の趣味と言うわけではない。むしろ女好きの女たらしなのが理由でこうなったのだとか。
「あ、そう言えば服忘れてきちまったな…」
「どうぞ」
そう言って手に持っていた服を渡してくれるのも勿論男だ。
上半身露出狂気味の俺は一応有り難い。
女にそんなこと言ったらハレンチ行為だと姑(執事)に言われたから、というのもある。
さすがの俺でも警察にお世話になりたいとは思わないし、お世話になるつもりもない。
渡された服を歩きながら着ると、一緒に渡されたタオルを濡れた髪の上に乗せる。
そこにはもう来てたのか、金髪がいた。
「金髪、今日も早いな」
「もう、僕の名前は金髪じゃなくて金沢建造(かなざわけんぞう)って言うんだけど!」
テーブルクロスがある椅子に腰をかけていると、丁度後ろから「げっ」という悲鳴のような声が聞こえる。
「金沢さま、もう来てらっしゃったんですか。そうですかそうですか。今すぐお帰りください」
笑顔な執事の後ろにいた幼なじみの黒澤良(くろさわりょう)は、苦笑いをしながら俺の隣に座った。
「大変だな愁も」
「見てる分には面白いけどな」
「そこ、見てないで手伝って貰えません!?」