俺様主人と忠実執事

「…………そーだよ」
「お前は出来る執事だけど、主人のことを全く考えない大馬鹿野郎だし、嫌いだし！とにかく！お前のことが大嫌いなんだよ」
「奇遇ですね。私もあなたのようなガキが大嫌いです」
二人で見つめ合うという言い方をすれば聞こえは良いが、お互いのあいだにはバチバチとした火花が散っていた。
その後、俺は無理やり帰らされ、親父に怒られ、良に慰めてもらったのは言うまでもない。
……………………そう言えば。
そんなことがあってから、あいつも変わったかもしれない。
少し丸くなった気がしなくもない。
いや、もしかしたら逆かもしれない。
「どの道、元はあの性格だからな……」
「……なにかおっしゃいましたか？」
背後から声が聞こえた。
「いつの間にいたんだろう」というのはよくあるので、慣れてはいるが。やはり人に背後を取られるのはなんとも嫌な感じだ。