俺様主人と忠実執事

まあ、丁度飲みたいと思っていたし、いいか。
「ちょっと休憩でもしよう」
「うん」
紅茶を一口飲むと、丁度いい熱さ加減が、からからに渇いていた喉を潤してくれる。
「……」
あいつ、変態なのだろうか。
こうまでも俺の好みを熟知しているのかと思うと、やはり気持ちが悪い。
女がやってくれているのであれば、好感度が上がるのだが……。
「……」
完璧のつもりなんだろうけど、あれはただのストーカーのような変態なわけだ。
むしろ完璧よりも出来損ないの方が、よっぽど好感が持てるし、イジリがいがあるから、俺的にはいいんだけど。
梓は……うん。論外だな。
「このスコーンっておいしいな。どうやって作るんだろ?」
美味しそうに食べている良が俺に聞いてきて思い出した。
「……そう言えば今日、新しい新人の料理人が入ったんだっけか。梓が言ってたような気がする。
今日はそいつが作るお菓子を予定らしいし、そいつにでも教えて貰えば?」
「え、でも……流石におこがましいだろ」
躊躇うように言いつつも、行きたそうな表情をしている。
「遠慮すんなよ。二人きりが嫌なら俺は見ててやるから」
「ありがと」