ガコッと手に持っていたいちご牛乳の容器が制服に落ち、しみを作る。
「はっ……そ、そうだったのか?俺はてっきり白だと思ってたんだが……やっぱり黒だったのか……そうか…………」
俺が、兄貴を?そんな、まさか。
有り得ない。絶対に、ない。
「…………そんな筈ないだろ」
「それならどうして動揺してるの。ほら、こぼれてるよ、雪っち」
するりと双子弟の手がこちらにのびて、腕に触れた。
「ね?」
「やめろ」
それを乱暴に振り払うと、双子弟はペロッと舌を出し、子供のような笑顔をみせて離れた。
とてもじゃないけど、ここに居てさっきのように話せる余裕はこれっぽっちも残っていないだろう。
分かりやすく反応する自分に、とてつもない怒りを覚えた。
「教室に戻る」
そういって、荷物を持って歩きだす。
はやくできるだけはやくこの場所から去りたい。
重い足を動かした。
「知ってるんだよ、僕。雪っちがいっつもお兄さんを見てるの」
ピタリと歩みが止まった。
冬だというのに、手から冷や汗が流れた。
ドクドクと心臓が嫌な音をたてる。
「最初はブラコンなのかなーって思ってた。けど、全然違ったみたいだね。確信したよ。さっきの動揺といい、今も。意外と分かりやすいんだね」
「脅し?」


