兄と弟。


「ねぇ、雪っちって童貞?」

「は?」


興味深そうに俺を見る。

なにを言っているんだろうか。

不審な目を向けると、クスッと笑った。


「まぁ、奥手そうだし。僕達みたいに汚れてはいなさそうだよね」



「……何を言ってる?」


なんとなく察しがついたが、確認のため聞いてみる。


「何って僕達、雪っちを落とすゲームをやってるんだよ」


勿論、君には秘密でね。と付け足すと、またクスクスと笑った。



「でも、全然僕達を見てくれないからゲームにならなくって。好みの体なのになぁ」


舐めるような視線が体に向く。


なんだろう、年上キラーなのだろうか。

(※双子は1年生。)



「えー?俺はもうちょっと筋肉質が好みだ」


「……」



なんなんだこの双子。

多分、俺に話しかけて来た時からだったのだろう。

何となく……、なにか引っかかるところがあったから驚かないけども。

どう反応したらいいのか悩む。


「俺は女が好きなんだ。他を当たれ」


悩んだ末そう答え、いちご牛乳を口に含む。

いつもはこんなのは買わないのだがこれしか売っていなかった。
当然似合うはずもなく、内心ちょっと恥ずかしかったが、これしかなかったんだと割り切る。

甘酸っぱい味が口の中いっぱいに広がった。


「何言ってるの?――雪は自分の兄が好きなんでしょ」