「……寒い」
今日はいつもより冷えるようで、予想が当たった。
マフラーつけてて正解だったな。
それに顔をうずめながら歩いていると、遠くから手を振ってる人が近づいてきた。
「なにっ!?マフラーしてるとか男じゃないぞ雪!」
「おはよう、雪っち」
「……おはよ」
どうやら一人ではなかったらしい。
後ろに隠れていた、よく似た顔の弟が言った。
どちらも名前は知らないけど、最近話しかけてくる連中だった。
「なんで雪っちなんだ?どこぞのキャラクターか?」
と、兄が。
「え、なんかカッコよくない?」
と、弟が俺を板挟みにして話す。
二人に逃がさない、というかのように挟まれているのは何故なんだ。
そう思っていると学校へついた。
「……」
なにも言わずに、逃げるように教室へ向かう。
「あ!」
二人はそれに気づいて伸ばされた腕は、風を切った。
ここまで来れば追いつかないだろう。
上がった息を整えた。
「……あ」
廊下を歩いている最中、何気なく窓を見ると、登校中の兄が見えた。
友達から、茶化されるように歩いている兄と……彼女さんらしき女。
「……」
胸が苦しくなって視線を逸らす。
……早く教室へ行かないと。


