兄と弟。

野沢のことだ、家の中を歩き回るに違いない。
急ごう。
お湯を沸かし、紅茶を作ると、買ってきてあるクッキーを皿に乗せる。
「よし」
俺はお盆を持ってキッチンを出た。
リビングへ戻ると、案の定野沢は居ない。唯一の救いと言えば明子さんが居るということだ。
「明子さん、あいつどこに行った?」
「雪さんが部屋を出てすぐにトイレに行きましたよ。そう言えば遅いですねえ……」
無理と言った瞬間の野沢の表情は納得いかないって感じだった……。
多分、ムキになったんだろう。
俺の部屋を見られる前に探すとするか。
「ちょっと見て来る。明子さんはそこで待ってて。紅茶、先に飲んでていいから」
「え、雪さん?」
返事を聞かずにリビングから出た。