兄と弟。

早く、なるべく早く家へ帰りたかった。
風邪を引いた時、必ずと言っていいほど俺は訳もなく虚しい気持ちになった。
だけども、部屋には俺、ただ一人。
兄貴もいない。
親もいない。
風邪が治るのを一人でひたすら待つ。
寂しくてもずっと一人。
我慢。
我慢。
我慢。
こんな時は絶対に部屋に誰にも入らせたくなかった。
無防備な俺を誰にも見せたくない。
もし、誰かに見られてしまったら、俺の中のなにかが、
崩れてしまうような気がしたから。