兄と弟。

「……」
答えずに床に座る。
キスはし慣れているが、それとは違う何かがあった。
ダルくて体があつい。
床の冷たさが火照った体にとても気持ち良かった。
「顔が赤いな?え、もしかしてーー」
額に手を当てられる。
ヒンヤリしている手だ。俺は手を払う。
「多分風邪だ」
一昨日にあのまま寝たのが今日にきたのだろう。
そう言えば兄貴が何か言いたそうにしていたような気がする。
兄貴は気づいていたのだろうか。
「あー……僕風邪うつりたくないなー。僕がかかったら兄さんまでうつってしまうし」
鋭く睨まれた。
「……カッター返してくれ。寒い」
何も言わずにカッターが投げられ、それを受け取ると、ボタンをつける。
「秘密の密会するつもりだったのに、風邪って。まぁ本来なら無理やりやるとこだけど、ナニは慣れてないっぽいし、今回だけだよ?雪っち」
頬にキスをされた。
「…………」
「あ、ずるい!」
された方とは逆の頬にキス。
……なんなんだ。
そう思いながら立って保健室へ向かった。