兄と弟。

「脱いでよ、自分で」
は?
目が点になった。
「まあ、拒否権なんてないんだけど」
双子弟が目を細めると、言うが早いか口に柔らかいものがあたった。
「……ちょっ!?」
なんだ、これ。
「んっ……はぁ……」
「……っ」
口にぬるりとしたものが入って来た。予想外で目を見開く。
いつの間に脱がされたのだろうか、俺のカッターのボタンを取り外しはじめる。
Tシャツも脱がされそうになった時。
え?
ふと見た視線の先には、カメラがあった。
パシャッ
眩しくて離れようとすると、握られた手に深く爪を立てられ、痛みに顔を歪める。
音が鳴り終わると同時に離れた。
思わず口を袖で拭う。
視界に入った手には爪の跡が深く残っていた。
「よし、成ー功。綺麗に撮れてる。ほら、兄さん」
「むぅ、俺がやりたかった」
「そのカメラ……」
「物にして残した方が脅しは有効なんだ。まぁ、単なる僕達の趣味だけどね、痛い?その手」
歪んだ顔を見られたのか知らないが、つけた本人は楽しそうに笑っている。
顔は笑っているのに目が笑っていなかった。
怖い。
初めてそう思った。