兄と弟。

ザワザワと騒がしい。
本を読んでいると、後ろから野沢が話しかけてきた。
「あれ、昨日会った奴じゃないか?」
視線を向ければ双子の弟がいた。
何の用なのだろうか。
しおりを挟み、本を閉じると席を立った。
「何の用だ?」
「…………」
無言で紙を押し付けられた。
どうやら何も言わないつもりらしい。
それだけ渡すと、一言も話さずに歩いて行ってしまった。
紙には、綺麗な文字がならんでいた。